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第1章 あの日を想う

第1章 あの日を想う

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広域へ、迅速に

早期対応による事業促進を図る

東日本大震災における地震と津波の自害により、岩手県・宮城県・福島県の沿岸市長村において膨大な量の災害廃棄物が発生しました。災害廃棄物処理は、復興への第一歩。早期処理の実現が、後に続く復興事業のスピードを加速させます。

※写真:山田町での災害廃棄物処理機械

復興への第一歩

東日本大震災における地震と津波の被害により、岩手県・宮城県・福島県の被災3県の沿岸市町村において、膨大な量の災害廃棄物が発生しました。被災地では、既存の廃棄物処理施設に加え、仮設焼却炉を設置するなど廃棄物の処理に取り組んでいましたが、受け入れる施設によって処理できる災害廃棄物の種類や大きさに制約があることなどから、処理作業が順調に進んでいるとは言えない状況でした。災害廃棄物処理は、復興への第一歩であり、早期処理の実現がその後の復興事業のスピードを加速させることに大きく作用するため、早期完了が求められていました。東日本大震災で発生した災害廃棄物は2,855万tに及び、これらを処理するには地方自治体や地元企業だけでは困難でした。結果として、これらの処理にかかる費用は1兆円を超えました。

災害廃棄物集積状況(山田町)
災害廃棄物集積状況(山田町)

岩手県災害廃棄物類

岩手県災害廃棄物類

災害廃棄物等推計量

災害廃棄物集積状況

災害廃棄物は一般廃棄物?産業廃棄物?

廃棄物は大きく一般廃棄物と産業廃棄物に大別されます。災害廃棄物はどちらに該当するのでしょうか。
結論としては、一般廃棄物に該当します。

これは、災害廃棄物は事業活動により発生した物ではない、すなわち産業廃棄物ではないと判断されるからです。そのため、一般廃棄物は発生箇所である市区町村(自治体)に処理責任が及びます。
上記のような大量の災害廃棄物を処理するには自治体レベルでの対応は非常に困難であったと言えます。

産業廃棄物

事業活動によって生じる
20種類の廃棄物

※燃えがら・廃プラスチック・金属くず・木くず・汚泥など

一般廃棄物
  • 産業廃棄物以外の廃棄物
  • 災害廃棄物
誰も経験したことのない量

誰も経験したことのない量

当社として初めてとなる災害廃棄物処理事業の所長を務めた。岩手県山田町にて、30万tにも及ぶ大量の災害廃棄物処理を行うため、人的・組織的な創意工夫を重ね、数々の苦境を乗り越えた。

東北支店土木部山田町工事所/所長(当時)

岡崎 稔OKAZAKI MINORU

資機材が不足

被災地に乗り込み、いざ仕事に取り掛かろうとした際、資機材がありませんでした。宮城県や岩手県で同時期に同じ仕事が始まるので、単管パイプ1つリースするのに苦労しました。何もリースできるものがなく、一般的にはリースする敷鉄板も仕方なく購入することになりました。バックホウも用意ができず、昔のつてをたどってなんとか手配しました。同様に作業員の確保にも非常に苦労しました。

災害廃棄物処理の問題

震災発生から半年後の10月に私は、30万tという大量の災害廃棄物を処理するため、現地に乗り込みました。災害廃棄物は、市や町がそれぞれ処理するのが基本になります。しかし、東日本大震災による災害廃棄物は過去に類を見ない量が発生し、県が主体となって処理をしていました。誰も経験したことのない大量の災害廃棄物処理に悪戦苦闘する毎日でした。

地元住民を雇用

災害廃棄物の処理に当たっては、被災した地元の方(建設業未経験が多数)を直接雇用(約30名)しました。各人被災程度が違うため、健康保険等の手続きには苦労しました。業務完了までの有期雇用だったため、解雇半年前から、失業保険や再就職に当たっての説明会を開催し、再就職支援をしました。

火災発生

災害廃棄物処理に取り掛かる前に自然発火による火災が問題となり、工事着手が遅れました。火災の原因は廃棄物の積み上げ過ぎでした。5m以上積み上げると自然発火すると言われているところ、工事着手前に既に10m積み上げられており自然発火しました。数km先まで煙が立ち、ひどい臭いでした。地元の消防署が昼夜交代で水をかけ、10月に発生した火災は11月に鎮火宣言が出ました。

KAIZEN

岩手県にはトヨタ系列の自動車工場があり、そこではトヨタのKAIZENが実施されていました。そこで、岩手県から災害廃棄物にもKAIZENを使いたいとお願いされました。業務における「無駄の排除」は当然実施していると思っていましたが、「付加価値のつかない無駄」を省き作業を効率化することで、予定施工数量が増えることが判明しました。出来高が上がった理由、上がらなかった理由を常に考え、作業の無駄を改善しました。

主要な工事

山田町・石巻市

岩手県 山田町

①山田地区災害廃棄物破砕・ 選別等業務委託(その1・その2)

山田地区災害廃棄物破砕・選別等業務委託
工事名称
山田地区災害廃棄物破砕・選別等業務委託(その1・その2)
発注者
岩手県
工期
その1:2011.12.7~2013.2.28
その2:2013.3.1~2014.3.3
施工場所
岩手県下閉伊郡山田町(その2)
工事概要
  1. 設置・撤去工(その1)
  2. 収集運搬工(その1)

宮城県 石巻市

②石巻市災害廃棄物破砕・ 選別処理業務(その1)

石巻市災害廃棄物破砕・選別処理業務
工事名称
石巻市災害廃棄物破砕・選別処理業務(その1)
発注者
石巻市
工期
2012.1.20~2013.10.31
施工場所
宮城県石巻市雄勝町雄勝字寺4-3
工事概要
  1. 作業予定地全面積1.2ヘクタール
  2. 搬入量90,000t
  3. 一次仮置場に集積した災害廃棄物に係る施設整備・当該災害廃棄物処理

災害廃棄物の広域処理

災害廃棄物処理では、処理を加速するため、被災地以外の処理施設で廃棄物を処理する広域処理を採用していました。廃棄物内の木材をチップ化し、サーマルリサイクルという形で焼却する処理を行うもので、試験施工を2012年2月より開始し、JR貨物コンテナを利用し各地に運搬しました。

2012年5月24日が大きな問題の日となりました。静岡県島田市への試験施工を終えた本格稼働初日であったため、処理施設は注目され、近隣住民やマスコミがきていました。そんな中、4台目のコンテナを開け、放射線調査をしようとした際、コンクリートブロックが混入していました。本来入ってはいけない異物があったため、大問題となりました。岩手県や関係者各位には多大なるご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございませんでした。

以降は、木材チップ化施設の隔離、ふるいによる検査などの徹底を行い、異物混入防止対策を実施しました。広域処理において失敗をしてしまいましたが、その反省を活かし迅速かつ確実な復旧活動を進めて参りました。

災害廃棄物の広域処理